【事実】
21:30 チョッと混んでいる東海道線の東京駅。
対面シートの窓側に座り楽しく読書をしていたその瞬間、その男が現れたのです。
茶色のコーデュロイのパンツとライトブルーのジャケットを着た50代の痩せた男がふらつきながら私の横にドスンッと座りました。
酔っ払ってご機嫌だったようです。
満面笑顔で首をカックンカックン揺らしながら睡魔と闘っています。
ゼンマイ仕掛けの壊れたロボットみたいで、笑をこらえるのが大変でした。
しかし、こんなオジサンにかまっている暇はなく読書を再開しました。
すると、このオジサン私に寄りかかってきたのです。
右肘で揺り起こすと、ハッと気が付くのですが、また直ぐに寝入って寄りかかってきます。
思い切り右肘で押したら体を通路寄りに変えたのですが、少しするとカクンという音と共に体制を崩し、立て直すとまた私に寄りかかってきました。
綺麗な女性ならまだしも、オジサンに寄りかかられては気分のいいものではありません。
【解釈】
チョッと考えました。
・なぜ、このオジサンは酔っ払っているんだろう?
・人としてゆるしてやるべきか?
・このオジサンの生暖かいぬくもりはゆるせない!
・自分が逆の立場だったらどうして欲しい?
・・・・・
【行動】
思考をめぐらしていたとき、フッと体が勝手に立ち上がりました。
オジサンの肩を叩き「オジサン、こっちの窓側の席に移って寄っかかって寝たほうがいいよ!」
オジサンは急に背筋を伸ばし目をパチクリさせて「エッ・・・ありがとう」
私はその車両を立ち去り、次の車両に移動しました。
席は空いていませんでした。
つり革につかまり、ふと窓を見ると、爽快な顔をしている自分がいました。
・・・結構いいことした気分を満喫しました。
【気付き】
仕事で疲れて、体を休めながら楽しい読書をしている快適な時間。
先に座っていただけで、既得権益でも何でもありません。
確かに快適な読書のひと時を奪われるのは楽しくありません。
しかし、その場にしがみつかなければならない理由もありません。
席を譲ったあと「いいことをした気分」を満喫しました。
困った時は、現状にしがみつかずに場を捨てる。捨てて初めて気付くこともある。
いや、理不尽が訪れた時に笑って相手が喜ぶ判断をする。
そうすると、自分に気持ちいい結果が訪れる。
理不尽が小さければチョットいい気持ち、大きければ凄くいい気持ちに出会えるかもしれない!
こんなことに気がついてしまいました。
多分、そのオジサンも訳あって、酔っ払っていたのでしょう。
いや、このことを教えるために、酔っ払って現れたのかもしれません。
まあ、そんなことはないと思いますが(笑)
東海道線の車内から外を見ていたら、昨日のオジサンをフッと思い出したので書いてみました。