お体に障害がある方やご高齢の方に「旅」を提供する。
こんな旅行会社社長の高萩さんが、サービスの本質を語ります。
サービスの軸を明確にし、トラブル・クレームを直視し、適切な対価を得たうえ相手の夢を叶えることが大切だと言っています。
「お客様の本音」、「表情や態度から見えてくるサービスの本質」、「サービス提供者側の思い過ごしや勘違いの実例」、「著者が消費者として「ちょっと違うんだよな」と思うサービスのあれこれ」。
体験に基づいた現場目線のサービスの事例が豊富です。
高萩さんのサービスに対する考え方は非常に厳しいです。
高萩さんがお客様でトラブルが発生したら、かなり手ごわいと感じます。
本質を外したら解決しません。状況を俯瞰したうえ、相手の要望を察知し、繊細な対応が必要です。
この人に評価されたら一流です。
【書籍名】サービスの心得
【著者名】高萩徳宗
【出版社】エイチエス株式会社
【推薦度】☆☆☆☆
【対象者】サービス業を究めたい人 利益が出ない理由を知りたい人
【目 次】
1. 本 質 ~サービスはこうあってほしい~
2. 改 善 ~サービスが自己満足にならないように~
3. しくみ ~少しの工夫で商売繁盛~
4. リーダー ~志が組織を変える~
5. 世の中 ~日本を見つめ直してみよう~
【読むきっかけ】
読書のススメの清水店長に「この人は凄いよ」と勧められた
【学びたいこと】
効率・マニュアル・会社目線ではなく、相手とともに相手が本当に必要なことを察知し行動する能力を身につけたい。
価格ではなく、価値を相手に提案できる能力を身につけたい。
【所 感】
お体に障害のある方やご高齢の方で旅行をしたい人は多いと思います。しかし、困難であることは容易に想像できます。
普通の旅行会社は、価格が安い、見どころ満載、料理の品数が多いという観点で勝負していますから、これらの人々が満足できる旅行にはなりません。
ブルーオーシャンですね、これらの人々をターゲットにした旅行会社。
しかし、大変だと思います。
障害をお持ちのお客様に、例えば海外旅行を提案するわけです。
搭乗手続きから、宿泊施設の障害者受入れ状況、旅先で体調が悪くなった時のドクターの事前手配・・・
そもそも、障害のある人はどんな旅行を望むのか?
いや、目の前にいるお客様はどんな旅行を望むのか?
全体・効率ではなく、個別・相手の希望
大変な想像力と行動力とお客様への気遣いが求められます。
当然、素晴らしいサービスには、それなりの対価が発生します。
お客様の夢とリスクと適正価格。
こんな厳しい状況で旅行会社を軌道に乗せ、お客様から感謝されている高萩さんの視点はかなり厳しいものです。
厳しいと感じるのは、売り手目線でサービスを提供しているからです。
答えは相手の中にあります。
デフレから脱却しても、価格で差をつけているサービスは完全に淘汰されます。
良いサービスを適正価格で継続的に販売する。
そのための視点と行動を教えてくれる一冊です。
【為になったキーワード】
・ごみ収集に見たサービスの本質
・「やりがい」より「やらされがい」
・おまけや値引きはサービスじゃない
・サプライズ以前にやるべきこと
・ポイントカードの考え方
・提案は「松竹梅」で
・質問させないサービス
・アフターサービスとは
・プロコンリストを活用しよう
・なんとなく行かない店
・損得ではなく好き嫌いで選んでもらう
・売れる旅行と良い旅行
・臆病者になる勇気
・医療とサービス
・建設業のサービス
・叶う親孝行 叶わない親孝行
この本は、売れている本ではありませんが、良い本です(笑う)
もう一冊、清水店長に勧められた本。
これも同じ著者ですが、障害のある方、余命いくばくもない方を海外旅行に連れて行くストーリーです。
おもてなしの本当の意味を教えてくれます。
ここまで想像力と行動力を伴わなければサービスとは言えないのですね。
多忙なのに利益が出ない、お客様のためを思ってサービスしているのにトラブルが絶えない。
これは、会社目線と効率重視が問題なのです。
厳しいお客様を満足させるサービスに取り組む高萩さんだからわかるサービスの本質を、この本は教えてくれます。
高萩さん、ありがとうございました。